アメリカ進出 成功の秘訣 ヤエガキ酒造

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日本食材・日本酒のアメリカ進出
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アメリカ進出 成功の秘訣 その12

日本酒のアメリカ市場シェアが今の倍になったとき、
市場拡大に加速が付く

Yaegaki Corporation of USA
General Manager  赤岩寛隆 氏
Director / Plant Manager レイコ・ウエイド(杜氏:櫛引麗子)氏

杜氏:櫛引麗子氏アメリカで日本酒造り20年
ヤヱガキコーポレーションオブUSAは、1987年の創業、今年20周年になります。
最初は共同出資の会社で、ちょうど自動車や家電品など日本の商品が認知されてきた頃です。工場はノースカリフォルニアにありましたが売却。現在は、他社の工場になっています。その後ロサンゼルスに拠点を移し製造を開始しました。最初は、ワイン倉庫の中を借りての酒造りでした。

1999年、独資の会社として独立。輸入販売部門を日本名門酒会に、製造販売部門はヤヱガキ酒造と分かれました。2003年10月、ロサンゼルス・バーノン市内に生産能力 845,000ガロン(3,300KL=18,000石)の工場を設立。アメリカ市場向けの酒造りをしています。

すでにレベルも高い、アメリカ産日本酒
日本のヤヱガキ酒造本社から人を派遣してもらい、技術指導を受けました。麹作りの工程も日本と同じものです。
日本で酒造りを知っている人は、日本と同じように酒を造ろうとします。しかし、アメリカの米は乾燥していますし、他の環境も異なります。ですからアメリカの環境を知っている人が日本の技術を使って作った方がいいものができると思います。また、日本では寒づくりをやりますが、ロサンゼルスでは同じことは望めません。また労働法などからも1日8時間労働を守る必要がありますので、それが可能になるように工程を管理しています。

米はサクラメント産の酒米、これを精米してもらい使っています。山田錦などはまだ生産されていませんが、20年前に比べると格段に品質が上がっています。カリフォルニア米でもきちんと反応する技術を応用すれば、日本の清酒に負けないぐらいの酒はできるはずです。次のJoy Of Sakeには、特別限定純米を出展予定です。アメリカ産日本酒のレベルがここまで高いことを、ぜひ知ってもらいたいと思います。

輸入酒は値段が高いですが、アメリカ国産酒はリーズナブルな価格で消費者に提供できるのが強みです。また、日本から輸入されている酒は、ロサンゼルスの倉庫に到着するまでに蔵元を出て2カ月はかかってしまいます。そこからディストリビューターに渡り、小売店へ行く。一般消費者の手に渡るまでに半年間かかります。最初のクオリティが同じであれば、新鮮な酒の方が美味しいのです。

日本人・日系人市場からアメリカ人市場へ
現在、全米のアルコール消費量に日本酒が占める割合は、日本産・アメリカ産を合計して、0.5%前後。日本のマンガ・アニメをアメリカでプロモーションしている方の話によると、「よく見かける」と認知される分岐点は、1%だそうです。そこまで来れば、拡大に加速がついてくる。この分岐点は現在の倍の量です。これは、在米酒造大手メーカー3社の設備投資後の製造量に値します。

現在アメリカで日本酒を製造しているのは、Gekkeikan USA、Takara Sake USA, Inc.、Ozeki Sake USA, Inc.、Yaegaki Corporation of USA、Sake Oneの5社です。マーケットはほとんどが日本人・日系人市場で、すでに飽和状態です。今は各社ともアメリカ人市場でのシェア拡大に努力をしています。

ヤヱガキでは、自社の膝元から愛されない商品は消えると考えています。サンフランシスコでのシェアは1割程度ですが、ロサンゼルスでは、3〜4割を占めています。ロサンゼルスの日系レストランからは多くのご支持をいただいています。これは、西本貿易のご協力が大きく影響しています。当初、瓶ものはナパの白山、業務用はヤヱガキを扱っていました。ところが2年前に白山が撤退。その後は、瓶ものもヤヱガキを広めてもらっています。

ヤヱガキはロサンゼルスの地元の酒です。それをふまえてマーケティングを続けています。販売はPIL(パシフィックインターナショナルリカー)が行っています。レストランへは、酒の知識を教えながら、献立づくりから相談に乗っています。また、瓶ものには杜氏の「櫛引麗子」の名前を入れています。それは、どうしても男っぽい酒と思われているヤヱガキの酒のイメージをもっとソフトにしたいからです。

酒造メーカーの自社単独アメリカ進出は難しい
酒造メーカーが、自社単独でマーケティングを兼ねて進出してくるのは、最初は良いでしょう。しかし日本食レストランだけでも全米で9000店あります。ずっと単独ではフォローしきれません。ですから長期的に見てディストリビュータと組むことは必須ですが、自社で展開中に値段を下げすぎると、ディストリビューターにとって魅力がなくなり扱ってもらえなくなります。

以前は現在の倍の価格でも売れていた日本酒ですが、価格が下がってきています。これからアメリカ市場に出てこようとする酒蔵は、価格設定とマーケティングと資本力が重要な課題でしょう。

ディストリビューターが現在持っている酒も多く、西本貿易だけでも数十蔵、銘柄にしてその倍あります。各ディストリビューターが、売れるものしか売らなくなる、アメリカで名前が通っていて売りやすい銘柄だけに絞り込みを進めてくる可能性は高いでしょう。日本の某有名酒蔵も、5年前に声がかかっているときに出ていらっしゃらずに最近アメリカ進出を打診しているようですが、アメリカではまだ無名なので、取引相手がなかなか見つからないのが現状のようです。

アメリカでの日本酒市場は拡大してきたとはいえ、まだまだこれからです。アメリカ中のより多くの人に、日本酒の美味しさと奥の深さを知っていただいて、ファンになっていただきたいと願っています。そのためにも、より美味しい日本酒づくりに精進してまいります。

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ヤヱガキコーポレーションオブUSA
www.yaegakiusa.com/
1987年3月5日、米国にて創業
1999年2月5日、独資の会社形態に変更
八重垣 辛口純米酒、カリフォルニア 生一本、蔵出し直送 あらばしり を製造している。

日本のヤヱガキ酒造は、兵庫県姫路市にある寛文6年(1666年)創業の300年以上の歴史を持つ造り酒屋。「無」純米大吟醸酒はアメリカでも人気が高い。

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